Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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つばくろ

つばくろ

山本 周五郎

Lee つばくろ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.987 caracteres · 44 pantallas

Aozora Bunko

……決心はしたものの、心は重くふさがれ、刺すような胸の痛みは少しも軽くならなかった。帰る途中でなんども立停り、白く乾いて埃立った道のおもてを眺めながら、彼はふと無意識に頭を振ったり、思い惑うように溜息をついたりした。

おいちは家にいた。

「食事はいらない、おまえ大助と済ませたら居間へ来て呉れ」

高雄は着替えをしながらこう云った。妻の顔を見ることができなかった。返辞を聞くのも耐えがたいようであった。

居間へはいった彼は、机に向って坐り、あけてある窓から外を眺めた。おちつかなければいけないと思った。……そこは東北に向いた横庭で、亡くなった父の植えた岳樺が五六本あるほかは、袖垣の茨が枝をのばしたのや矢竹の藪などが、手入れをしないので勝手に生えひろがっている。岳樺は寒い土地の木で、こんな処では根づくまいといわれたのだが、植えたときからみると倍以上にもそだち、今も若枝にみずみずと、柔らかそうな双葉が出そろって、春昼の日光をきらきらと映していた。

「――おいち、……おいち」

高雄はそっと口のなかで呟やいて、そうして机に肱をついて、眼をつむった。

彼女は貧しい鉄砲足軽の一人娘だった。