Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Lee はたし状 (はたしじょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.525 caracteres · 39 pantallas

Aozora Bunko

四

そんなつかぬようなことをいった。

老職や自分の支配へは帰国の挨拶にまわったが、家へ知己を招待もしなかったし、祝いの招きも「旅中に躯をいためたので」という理由でみな断わった。たびたび八木千久馬や、以前の同僚たちが訪ねて来たが、かれらにも後日を約しただけで、会わなかった。

季節は梅雨にかかっていた。

四

彼のために三人の助手が待っていた。役所もあるし支配役もあるが、仕事が特殊なので、そちらとは殆んど関係がない。書庫の鍵も第二が預かったし、役部屋も一つべつに与えられた。……当時の彼としては誂えたような条件であった。必要なときは続けて登城したが、助手で事足りるばあいは二日三日と休んだ。

第二の孤独癖は性格のようになった。

彼は暇があると城下の外へ歩きに出た。北東と西に山をまわし、南に平野のひらけた地形であるが、彼は北側の山の裾を歩くのが好きであった。耕地と林と丘が段登りに山へと続き、二た筋の街道がその間をうねくねと山越しに隣国へ続いていた。その道の合するところを宇野と呼び、そこで道は広い往還になって、一里あまり迂回しながら城下町の北口へはいる。彼はこの道をよく歩いた。