Clásicos japoneses con furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lee わが町 (わがまち) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 93.840 caracteres · 186 pantallas
「ああ、わてかて頼まれた覚えおまへんけど、なにも銭もらお言うネやなし、そないぽんぽん言いなはんな」
オトラ婆さんは半分喧嘩腰だった。
そんな押問答の最中に、君枝は眼をさました。
小さなあくびが突然とまった。
「ああ、おばちゃん」
君枝は飴でおぼえていた。
「君ちゃん、起きたんか」
婆さんはいつの間にか君枝の名を知っていて、
「――いま、おばちゃん、御飯たいたげるさかいな、待っててや」
「おばちゃん、今日からうちへ来やはるの?」
君枝は起きだして来た。
「さあ?――」
婆さんは他吉の顔を見あげた。
他吉はわざと汚ったらしく手洟をかんで、横を向いた。
「君枝、まだ早い。寝てエ」
他吉は君枝を叱ったが、しかし、君枝が婆さんの袂にあらかじめはいっていた飴玉を貰う時には、もう叱らなかった。
飯が炊けると、オトラはお櫃にうつそうとした。
部屋の中を掃除していた他吉は、飛んで来て、しゃもじを奪い御飯を仏壇の飯盛りにうつした。
そして、
「おばはん、もう帰り。――帰らんかッ!」
と、言った。
相当きつい見幕だったので、オトラは驚いて帰って行った。
が、彼女は他吉が俥をひいて出て行ってから、こっそりやって来たらしい。