Clásicos japoneses con furigana
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グースベリーのうれるころ
グースベリーの熟れる頃
宮本 百合子
Lee グースベリーの熟れる頃 (グースベリーのうれるころ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 6041 caracteres · 12 pantallas
小村をかこんだ山々の高い峯は夕日のさす毎に絵で見る様な美くしい色になりすぐその下の池は白い藻の花が夏のはじめから秋の来るまで咲きつづける東北には珍らしいほどかるい、色の美くしい景色の小さい村に仙二は住んで居た。
十八で日に焼けた頬はうす黒いけれ共自然のまんまに育った純な心持をのこりなく表して居る、両方の眼は澄んで大きな瞳をかこんだ白眼は都会に育った人の様な青味を帯びては居なかった。
何の苦労と云う事も知らずに育った仙二は折々は都会のにぎやかな生活をするのでその土地の方言は必してつかわなかった。
下帯一枚ではだしで道を歩く女達が太い声で、ごく聞きにくい土着の言葉を遠慮もなくどなり散らすのを聞くと知らず知らず仙二は頭が熱くなって来る様にさえ思った。
冬と春先のみじめな東北の人達はだれでも力のみちたはずむ様な夏をやたらに恋しがる通り仙二は夏をまだ雪の真白にある頃からまって居た。
池の水草の白い花が夕もやの下りた池のうす紫の中にほっかり夢の様に見える様子や、泳ぎながらその花で体中を巻く時の美くしさや快さなんかも思った。
何がなしに仙二には夏の来るのがいつもより倍も倍も待遠かった。