Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lee スウィス日記 (スウィスにっき) de 辻村 伊助 (つじむらいすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 216.275 caracteres · 410 pantallas

Aozora Bunko

ここに述ぶ、フランスなれどサヴォアに税関は置いてない、無税とは云えロンドンから、遥る遥る携えたシガーは、曇り日でもカサカサに乾き切って、葉の破れを両手に、尺八を吹くような始末でなければ、煙はなかなか口には来ない。

午後は氷雨、ヴェランダからやや右よりに、メル・ドゥ・グラスの雲に見えかくれするのを眺めて、ぼんやりしながら暮らしてしまった。山里なれば日の暮れやすく、夜は薄月に小雨して、サロンのピヤノは今宵も枕にひびいて来る。

夜の小雨は、いつのまにやら今朝の粉雪に変っていた、私が二度目に眼をさました、それは八時半頃であったろう、窓をあけてヴェランダに出ると、山脚の樹氷、樅、白樺の小枝小枝は、美しくも飾られて、しんしんと、なお降りつもる雪の中に、朝出されたサヴォアの蜜は凍っていた。

時々ピヤノが聞える、風淀ながらヴェランダに、雪はたちまち、寸を超えてしまった。路をへだてて、此の四月に開業と云うシャモニー・パラスで、大工がとんとんやってるのが、風につれて響いて来る。私のホテルは、その建物に邪魔されて、渓の正面はかくれてしまう、従って向うからは、モン・ブロンは見えるにしても、少なからずさえぎられることと思う。