Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lee スウィス日記 (スウィスにっき) de 辻村 伊助 (つじむらいすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 216.275 caracteres · 410 pantallas

Aozora Bunko

空は真っ黒に掻き曇って、いつの間にかすぐ下の氷河も見えなくなった、その暗い谷合を、斜に截って落ちる大雨は、殆んど鋼鉄のような光沢がある、私は雨足に射すくめられたように頸をちぢめて、ギクリ、ギクリ、痛い脚を曳きずりながら、ベールエックさして濡れて行くと、岩の角から、担架に付いて行ったドクターがやって来た。ヘッスラーと近藤君は、担架のままグリンデルワルトへ運ぶ手筈になっておる、然し貴下はもうとても歩けないから、ベールエックへ泊って、明日の朝村まで御下りなさいと云う命令だ。此の時はもう誰が何と云っても、ベールエックから先に動くものかと、腹を据えていた時で、無論ドクターの仰せのままに従った。

私は召集されて明朝国境へ行くのですから、ここで失礼をってんで、握手がすむと、すぐまた岩の蔭に下りて行ってしまった。

軍隊式は差し支えないが、あとで受け取った先生の勘定書に、二人とも一寸驚ろいたが、成る程医者はいい商売だ、少しばかり繃帯をしに、シュトラールエックまで散歩に来ただけで、大枚二百五十フラン、これは戦争中でなくても、余り安い診察料ではない。

漸くベールエックの宿の前へ出ると先に着いた担架は、岩のむこうをなそいに下りて、雨の中をしょぼしょぼ湿れてゆく様子、私はふとパルシファルの舞台をおもい起して、杖にすがったままじっと