Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lee パンドラの匣 (パンドラのはこ) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 192.644 caracteres · 386 pantallas

Aozora Bunko

商大生になってから、はじめての御入来である。新調の洋服が、まぶしいくらいだ。

「人種が、ちがったね。」とお世辞を言ってやったら、えへへ、と笑った。だらしのねえ奴だ。商大へはいったからって、人種がちがってたまるものか。赤縞のワイシャツなどを着て、妙に気取っている。「体は衣に勝るならずや」とあるを未だ読まぬか。

「ドイツ語がむずかしくってねえ。」などとおっしゃる。へえへえ、さようでござんすか。大学生ともなれば、やっぱり、ちがったもんですねえ。むしゃくしゃして来て、僕は、ギタをひいてばかりいた。銀座へ、さそわれたけれど、断る。

僕は、いま、少しも勉強していない。何もしていない。Doing nothing is doing ill. 何事をも為さざるは罪をなしつつあるなり。僕は慶ちゃんに嫉妬していたのかも知れぬ。下品な事だ。よく考えよう。

五月四日。火曜日。

晴れ。きょう蹴球部の新入部員歓迎会が学校のホールで催された。ちょっと覗いてみて、すぐ帰った。ちかごろの僕の生活には、悲劇さえ無い。

五月七日。金曜日。

曇。夜は雨。あたたかい雨である。深夜、傘をさして、こっそり寿司を食いに出る。