Clásicos japoneses con furigana
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まんのし
万の死
小川 未明
Lee 万の死 (まんのし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 4457 caracteres · 9 pantallas
万は正直な、うらおもてのない人間として、村の人々から愛されていました。小学校を終えると、じきに役場へ小使いとしてやとわれました。彼は、母親の手一つで大きくなりましたが、その母も早く死んだので、まったくひとりぽっちとなりました。こんなことが、人々の同情をそそるのでありましょう。どこへいっても、きらわれることなく、日を送りました。
「おまえさんも、早くお嫁さんをもらうのだな。」と、ひとりぽっちの彼を心からあわれんで、いってくれるものもありましたが、
「私には、まだそんな気持ちはありません。」と、万は、頭をふりました。それには、早いからという意味ばかりではありません。始終不自由をして、貧しく死んでいった母親のことを思うと、すこしの楽しみもさせずにしまったのを、心から悔いるためもありました。
彼の母は、じつにやさしかったのです。彼が父親と早く別れたので、その不憫もあったのでしょうが、また、この世の中に母一人、子一人としてみれば、たがいにいたわりあうのが、むしろ、ほんとうの情けでもありました。
――ある夜、万は、灯の下で学校の復習をしていました。母は眼鏡をかけて、手内職の針をつづけていました。