Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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みうらろうじんむかしばなし

三浦老人昔話

岡本 綺堂

Lee 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.637 caracteres · 224 pantallas

Aozora Bunko

それでもまあそれだけのことならば、蔭で怨んでいるだけで済んだのですが、桂斎先生のためにも、久松姉弟のためにも、こゝに又とんでもない事件が出来したのです。それはその年十月の大地震――この地震のことはどなたも御承知ですから改めて申上げませんが、江戸中で沢山の家が潰れる、火事が起る、死人や怪我人が出来る。そのなかでも吉原の廓は丸潰れの丸焼けで、こゝだけでもおびたゞしい死人がありました。おつねの勤めている店も勿論つぶれて、おつねは可哀そうに焼け死にました。久松の店も潰れたが、幸いに怪我人はありませんでした。桂斎先生の家は半分かたむいたゞけで、これも運よく助かりました。

おふくろは死ぬ、それから半年ばかりのうちに姉もつゞいて死んだので、久松は一人法師になってしまいました。おふくろのない後は、たゞ一本の杖柱とたのんでいた姉にも死別れて、久松はいよ/\力がぬけ果てゝ、自分ひとりの助かったのを却って悔むようになりました。おまけに姉のおつねが以前奉公していた芝口の酒屋は、土台がしっかりしていたと見えて、今度の地震にも家根瓦をすこし震い落されたゞけでびくともせず、運よく火事にも焼け残ったので、久松はいよ/\あきらめ兼ねました。