Clásicos japoneses con furigana
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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
Lee 三稜鏡 (さんりょうきょう) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.347 caracteres · 42 pantallas
令嬢も亦そして、私の眼や微笑から、私の意志表示を、判然と受取っていたに相違なかった。そして私と令嬢との間には、お互いがそれを言葉では云わないだけに、恋愛者同士の恍惚感が次第に激しく沸騰して来るのであった。総ゆるものを焼き、総ゆるものを灰にするような、令嬢に対する私の愛情は、博士に対する恐怖感をさえ乗越えて行った。そして私はむしろ、笠松博士の、奇怪な医術上の理想に、却って、未練を抱き出した。若しそれが、奇怪な理想ではあるにしても、学理の上で、少しでも可能の曙光が見え、そして、それが博士の手で博士一代に完成することが出来なかったら、私はその後を継いで研究を続けたい気がするのであった。
併し、笠松博士のその奇怪な実験は、何時も失敗に終った。麻酔剤によって仮死の状態に置かれてある人体は、首を切断されたまま、恰も泥人形の首がげたように、何うしてももう附着しなかった。両方の切口には、赤黒い血がねとねとと附いているのに、何処に血管があるのかもわからず、筋肉さえが、粘土のように脆くなっているのであった。博士は、麻酔剤以外の、何か強烈な劇薬物を、この仮死体の上に作用させているに相違なかった。