Clásicos japoneses con furigana
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かんぱい
乾杯
豊島 与志雄
Lee 乾杯 (かんぱい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8788 caracteres · 18 pantallas
その眼から、何か刺されるようなものを山川正太郎は感じて、顔をそむけ、戯れのように上原稔に言いました。
「これが、ほんとの乾杯の作法だ。」
その時の加納春子自身、いま、上原稔がいたところに腰を下して、山川正太郎の前にいました。
山川正太郎は沈黙の後に言いだしました。
「いよいよ、あなたにも、返答をしなければならなくなりましたが……。」
彼女は心持ち大きく眼を見開きました。その顔は微笑んでいるかのような静けさでした。
「何の御返答でございましょうか。」
「いや、あなたと私と、二人に対する、私自身の返答です。」
彼女の両の眉が、ちらと寄りあいました。
山川正太郎は室内をまた見渡しました。もう誰もいませんでした。電灯の光りがまじまじと明るいだけでした。
「塚本さんは、もう帰りましたか。」
「さきほどまでおいででしたが、もうお帰りになったと思います。」
もっとも、塚本老人は、近くに住んでいましたので、帰り去ってもすぐに再来することはよくありました。それを、山川正太郎が尋ねましたのも、実は、他のことを考えていたからでありました。
或る時、塚本老人は言いました。
「あの加納さんは、よく出来た方でございますね。