Clásicos japoneses con furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lee 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 113.429 caracteres · 227 pantallas
今日は二百十日なのだ。そうと気がつくと、なんとなくあらしをふくんだ風が、じゃけんに頬をなぐり、潮っぽい香りをぞんぶんにただよわせている。岬の山のてっぺんがかすかにゆれ動いているようなのは、外海の波の荒さを思わせて、ちょっと不安にもなった。途中で自転車をおりねばならないかもしれぬからなのだ。そうなると自転車ほどじゃまものはない。しかし、だからといって今おりるわけにはもうゆかないのだと考えながら、いつしか、空想は羽のある鳥のように飛びまわっていた。
……風よ凪げ! アリババのようにわたしが命令をくだすと、風はたちまち力をぬいて、海はうそのように静まりかえる。まるで、いま眠りからさめたばかりの湖のような静かさです。橋よかかれ! さっとわたしが人さし指を前にのばすと、海の上にはたちまち橋がかかる。りっぱな、虹のようにきれいな橋です。わたしだけに見える、そして、わたしだけがとおれる橋なのです。わたしの自転車は、そっとその橋の上にさしかかります。わたしはゆっくりとペタルをふみます。あわてて海におちこむと大へんですから。こうして七色のそり橋をゆっくりと渡りましたが、いつもより四十五分も早く岬の村へつきました。