Clásicos japoneses con furigana
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なかなかしなぬあいつ
仲々死なぬ彼奴
海野 十三
Lee 仲々死なぬ彼奴 (なかなかしなぬあいつ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 9216 caracteres · 18 pantallas
それには若いうちにウンと苦労をするに限る。苦労を積まない人間は駄目じゃ。人から貰う金は、自分を堕落させるばかりじゃ。このわしはナ、お前が大好きじゃから、ある程度の世話はしてやるが、わしの財産は一文も分けてはやらぬぞ。わしはお前に依頼心を起して貰いたくないのじゃ。お前をデクノ棒にしたくないのじゃ。財産を一文も分けてやらぬ好意を、よく胸に畳んで忘れて呉れるでないぞや」
老人は、喜助に対して、いくたびとなく、此の訓戒を試みた。喜助は老人の好意を、実質以上に高く高く感じて、その都度、泪をホロホロ流して喜んだ。
喜助は幼にして両親を喪い、叔父の家にひきとられて生長したのだったが、その叔父の久作の家というのが、大熊老人のお邸へ出入りする花屋だった。その因縁から、喜助が大熊老人に知られるようになったのである。
喜助が小学校を卒業すると、大熊老人は彼を薬学校に入れた。喜助の成績は老人の期待を裏切って、上等とはゆかなかった。さりとて悪いというほどのところでもなかった。恐らく、それは喜助のお人よしに原因するところが多いのだろうと、老人は自ら安んじたことであった。学校を出た喜助は、老人の骨折で、理化学研究所へ入って、無機化学実験室の助手をつとめることになったのである。