Clásicos japoneses con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lee 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.664 caracteres · 323 pantallas
信濃の秋は寒いのに腰に毛皮を纏っているばかり他には何んにも着ていない。もっとも足には革足袋を穿き手には山刀を握っていた。その子供と大熊とは素晴らしい勢いで格闘した。そうして子供は熊を仕止めた。仕止めると一緒に気絶した」
「死んだのではありますまいね」葉之助は不安そうに訊ねた。
「死んだのではない気絶したのだ。ところで不思議にも気絶から醒めると、弓之進殿をじっと見て、『お父様!』と叫んだものだ。そうしてまたも気絶した。またその気絶から醒めた時には、子供は過去を忘れていた」
「不思議なことでございますな」
「不思議と云えば不思議だが、そうでないと云えばそうでないとも云える。西洋医学ではこの状態を精神転換と云っている。すなわち過去をすっかり忘れ、気絶から醒めたその時から新規に生活が始まるのだ。……それと見て取った弓之進殿は、こう私に云われたものだ。『これこそ葉之助が予言した、代りに来る者でございましょう、その証拠には私を見ると、お父様と云いました。で私はこの子を養い養子とすることに致しましょう』そこで私はこう云った。『それは結構なお考えです。しかしこのまますぐに引き取り養い育てるということは、鏡家のためにもこの子のためにも将来非常に不幸です。