Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lee 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.664 caracteres · 323 pantallas

Aozora Bunko

毒薬かそれとも他の物か、とまれ尋常なものではあるまい。しかるにそれが解らないとあっては、この北山面目が立たぬ。これはどうでも目付け出さなければならない」

しかしあせればあせるほど、白粉の見当が付かなかった。

「これはこうしてはいられない。江戸へ出よう江戸へ出よう。そうして大槻と直かに逢うか、ないしは他の手段を講じて、是が非でも白粉の性質を、一日も早く目付け出さなければならない。……一学一学ちょっと参れ!」

「はっ」と云うと前田一学は、もっけな顔をしてはいって来た。

「江戸行きだ、用意せい」

「江戸行き? これは、どうしたことで?」

「お前も行くのだ。急げ急げ!」

主人の性急な性質は、よく一学には解っていた。で、理由を訊ねようともせず、旅行の用意に取りかかり、明日とも云わずその日のうちに、二人は高遠を発足した。

一方、鏡葉之助は、北山へ飛脚を出してからも、根岸にある主君の下屋敷を念頭から放すことは出来なかった。で、非番にあたる日などは、ほとんど終日下屋敷の附近を、ブラブラ彷徨って警戒した。

ちょうどその日も非番だったので、彼はブラリと家を出ると、根岸を差して歩いて行った。