Clásicos japoneses con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lee 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.664 caracteres · 323 pantallas
「何がってお前女の心がよ!」
「女と云わずに山吹と云え!」
「おお云うとも! おお云うとも! 俺にはどうしても解らねえ。あの山吹の心持ちがよ!」
「あいつは悪魔に憑かれたのだ。その他に何がある!」
「そう云ってしまえばそれまでだが、俺はもっと知りてえのだ、何が山吹を誑かしたか?」
「そんな事を聞いて何んになる」
「なんにもならねえが聞いてみてえのよ」
「ふん、つまらねえ詮索だ」
そこでまた二人は黙り込んだ。二升の酒が尽きかかった。
「そうだ。あいつがよくなかった」
今度は杉右衛門が呻くように云った。「あの時うんと叱って置いたらこんな騒動にはなるめえものを」
「え?」と岩太郎は聞き咎める。「爺つぁん何かあったのかな?」
「あいつがいなくなる少し前よ、珍らしくあの男がやって来た」
「あの男? 多四郎かな?」
「そうだ行商のあいつがな、そうしてそこの縁先で色々の物を拡げたっけ。俺が見てさえ眼が眩みそうな綺麗な帯や駒下駄をな。……するとその時まで座敷の奥で素気ない様子で坐っていたあの山吹めが立ち上がって縁先へ行ったというものさ。――俺はその時何かの用で確か家を出た筈だ。帰って来て見ると山吹めが嬉しそうな顔で笑っている。