Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Lee 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.587 caracteres · 25 pantallas

Aozora Bunko

「そうともそうとも」

「ここの男爵様の婿サアになる約束はどうするだエ」

「嫌な事だ、真平御免だよ」

「私は、茂さんの出世をさまたげてはすむまい……私は死んでもいい、お前さんお嬢様の婿サアになって上げよ」

「何を馬鹿な」

「あの山の中からも、一人位は男爵が出たら、皆んなの衆はどんなに肩身が広かろう。私が東京サア出る時も、決して茂さんの後を追うじゃ無エ、お前はお前で身を立てろ、茂さアは男爵様のお婿様になるちゅうだ。未練がましい事をして、茂さアの出世を妨げると承知をしねエぞと、くれぐれもお父さアに言れただよ」

「田舎の人は正直だ、おれの気も知らないで、そんな馬鹿な事を言ってるのかい」

「だから、私は死んでもエエ、お前を男爵様やお嬢様と仲違いさして、山の中へ埋れさしては、お父さアにも合せる顔は無エ、茂さア、さらばだよ」

娘の熱い唇がそっと、深山の頬に触れたと思うと、脱兎の如く腕の下をすり抜けて、三尺ばかりの胸壁へ攀じ上りました。

「アッ」

と思ったがもう遅い、あまりの不意で、気が付いた時は、もう娘の身体は半分胸壁の外へ、六十尺の下は磨き抜いた御影の石畳、飛降りたら最後、千に一つも命はありません。