Clásicos japoneses con furigana
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きたのふゆ
北の冬
小川 未明
Lee 北の冬 (きたのふゆ) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5166 caracteres · 11 pantallas
私は温かな炬燵から出るのが辛かったが、遂に仕度に取りかかった。
私は、藁靴を穿て、合羽を着た。両脚は急に太くなって、頭から三角帽子を被ったので、丸で転がるように身体が円くなった。母は、頭に庄内帽子を被って、同じく合羽を着て、藁の深靴を穿いて戸を開けて表へ出た。身を刺すように冷たな西風が吹いている。一面に灰色がかった雪の原野で、彼方に徳兵衛爺の家の頭ばかりが見えた。また彼方に正善寺の杉林が黒くなって見える。二人はとぼとぼと雪道を歩いて町の方へ出かけた。五丁ばかりの野原を横切らなければ町まで行けない。その野原には一筋の河が流れて橋がかかっている。
愈々原にかかると風が強い。雪の上はもう堅く凍っていた。道と云ても、誰もわざわざ踏んで付けた道でなく、自然に人が歩いて幽かに付いている飛び飛びの足跡を捜して歩くのだ。ちょうど牛の脊を渉るよう、抜足をして歩いた。私が先に立って、母が後から来る。この頃は、昼前に橇が通るが、通った跡でまた吹雪がしてその跡を掻き消してしまうのである。今少し前に一つ橇が通ったと見えて踏み落ちた足跡やら、処々光った橇の跡が付いていた寒い日であった。