Clásicos japoneses con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lee 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 81.668 caracteres · 164 pantallas
学士は弓の袋や、クスネの類を入れた鞄を提げて歩きながら、
「ねえ、実はこういう話サ。私共の二番目の伜が、あれで子供仲間じゃナカナカ相撲が取れるんですトサ。此頃もネ、弓の弦を褒美に貰って来ましたがネ、相撲の方の名が可笑しいんですよ。何だッて聞きましたらネ――沖の鮫」
私は笑わずにいられなかった。学士も笑を制えかねるという風で、
「兄のやつも名前が有るんですよ。貴様は何とつけたと聞きましたら、父さんが弓が御好きだから、よく当るように矢当りとつけましたトサ。ええ、矢当りサ。子供というものは可笑しなものですネ」
こういう阿爺さんらしい話を聞きながら古い城門の前あたりまで行くと馬に乗った医者が私達に挨拶して通った。
学士は見送って、
「あの先生も、鶏に、馬に、小鳥に、朝顔――何でもやる人ですナ。菊の頃には菊を作るし、よく何処の田舎にも一人位はああいう御医者で奇人が有るもんです。『なアに他の奴等は、ありゃ医者じゃねえ、薬売りだ、とても話せない』なんて、エライ気焔サ。でも、面白い気象の人で、在へでも行くと、薬代がなけりゃ畠の物でも何でもいいや、葱が出来たら提げて来い位に言うものですから、百姓仲間には非常に受が好い……」