Clásicos japoneses con furigana
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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん
南北の東海道四谷怪談
田中 貢太郎
Lee 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.555 caracteres · 34 pantallas
外には雪が降っていた。伊右衛門は行燈に燈を入れ、それから門口の流れ灌頂の傍へ往って手桶の水をかけた。
「産後に死んだ女房子の、せめて未来を」
するとかけた水が心火になって燃え、其の中からお岩の嬰児を抱いた姿があらわれた。
伊右衛門は驚いて庵室の内に入った。中にはさっき狂乱して引きちぎった紙帳がばらばらになっていた。お岩の亡霊も跟いて入って来た。伊右衛門はふるえあがった。
「お岩、もういいかげんに成仏してくれ」
と、お岩がゆらゆらと寄って来て、抱いていた嬰児を伊右衛門の前へさし出した。
「死んだと思ったら、それでは其方が育てていたのか」
伊右衛門はうれしそうにその嬰児をお岩の手から執った。同時にたくさんの鼠が出た。伊右衛門は驚いたひょうしに抱いていた嬰児を執り落した。嬰児は畳の上にずしりと云う音をたてた。それは石地蔵であった。其の時傍にいた母のお熊がきゃっと云ってのけぞった。お熊の咽喉ぶえにお岩が口をやっているところであった。
「おのれ」
伊右衛門は刀を抜いて其の辺を狂い廻ったが、気が注いた時には、己を捕えに来ている大勢の捕手を一人残らず斬り伏せていた。