Clásicos japoneses con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lee 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 493.291 caracteres · 991 pantallas
罪も、咎も無い、あの別嬪が、巻きぞえ食うなんて――俺あ、あの女に手を折られたのじゃねえ、だから怨みもねえのに、畜生っ――何うしてあんな別嬪の、可愛らしいのがいやがったんだろう。早く知ってたら、小藤次の告げ口だって、止められたのに――掏摸だって、庄吉あ、真直な男だ。物の理前に合わねえことはしたくねえ――)
庄吉は、雨の中を、軒下伝いに、ぼつりぼつり歩き出した。
(少しゃあ、惚れたかな。あのくらいの女になら、惚れたって無理はねえ――然し、惚れていなくったって――こいつは、何んとか、考えんと、俺の男にかかわる。家業は巾着切でも、小藤次なんかたあ、憚りながら、人間の出来がちがうんだ)
庄吉は、三田の薩摩屋敷の方へ、歩くともなく歩いて行った。兄妹の姿は、何処にもなかったし、人通りも少かった。庄吉は、俯向いて、片手を懐に、肩から、尻まで雨に濡れて、しおしおとした姿だった。
火灯時に近くなってきた。
「仙波八郎太は、在宅か。横目付四ツ本だ」
玄関で、大きな声がした。七瀬と、綱手とが、八郎太に不安そうな眼を交えて、立とうとした。八郎太が、眼で押えて
「わしが行く」
すぐ立って行った。