Clásicos japoneses con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lee 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 493.291 caracteres · 991 pantallas
今夜にも、あの坊主を――そうだ、綱手の鏡を埋めて――忘れていた)
と、思って、歩みにくいが、一足歩み出した。そして
(俺は、卑怯で、逃げるのではないぞ)
と、思った。南玉が
「若旦那、綱手様の敵を――」
と、いいかけると
「霊地を、汚すのではない」
と、小太郎が、静かにいった。
木立の中――遥かに、上の梢で、小鳥が鳴いた。月丸には、それが、自分を侮っているような声に聞えた。
(何かしら、わしは、心の平均を、失っているようだ)
と、思った。
(この間から、眠れないで、気が立っているが――)
それが、義観に斬りつけて、失敗った因のように思えた。
(あいつは、魔物だ――小太郎が、一喝されて、縮み上ったのも、無理はない。然し、意気地の無い――わしは、よし、彼の坊主に、殺されようとも、もう一度は、必ず、襲ってやるぞ)
月丸は、綱手と契った夜の無念さを、忘れることができなかった。義観を怨むというよりも、義観のために一喝されて、木にぶっつかりつつ、石に躓きつつ、逃げ出した自分の醜さに対して――人に顔向けのできぬ、その時の醜さに対して、自分の心の癒えるように、したかった。
(もっと、落ちついて――あの、小太郎への説法ぐらいに、吾を忘れて、憤るようでは、いかん。