Clásicos japoneses con furigana
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なんきょくき
南極記
久生 十蘭
Lee 南極記 (なんきょくき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.753 caracteres · 35 pantallas
南極大陸には細菌も黴菌も生棲せず、空気はものすごく乾燥しているので、ここでは、ものが腐るとか、変質するとかいうことは絶対にない。スコットが基地に置いてきた卵は、十年後もそのままの鮮度を保っていた。南緯八十度〇五分の氷原の上に、十五年の間、旗が朽ちもせずに残っていたのは、つまりは、こういった特異な風土のせいなのだと、はじめて諒解した。
欧羅巴には、西暦百年頃から、南方の海に未知の大陸が存在するという伝説があった。一五七一年版のオルテリゥスの「全世界図」(これは万暦壬寅に利瑪竇の「坤輿全図」となって日本にも伝えられた)には南回帰線から南極に及ぶ仮想の大陸を描いて未知の南大陸 Terra austraris nondum cognita と命名しているが、欧羅巴、亜細亜、亜弗利加を合わしたものの五倍もあり、地球の南半を蔽う広大な地域で、そこに富み栄える国があるというのが、その時代の地理学の定説になっていた。
幸福な人類を発見するブランダンの「モント・ブランダン漂流記」も、七つの都を見る「アンチラ島譚」も、キャベェの「イカリ旅行記」もみな南方の未知の国へ理想郷を探しに行くといった趣向になっていたが、その頃は、極地に近づくと、想像もつかないような異変に遭遇すると考えられていたので、これらの南海回遊はたいへんな冒険