Clásicos japoneses con furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lee 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.251 caracteres · 94 pantallas
「小父さん、いらっしゃい。」
八郎はずかずかと、
「よく、来たね。」
「ええ、私今日は、接待員よ、御珍客様の。」
「うむ、沢山あの先生にお酌をしてあげておくれ。――これで安心したよ。……やくざな小父さんなんぞと違って、先生だからね。学校出の令夫人だ、第一義理がある。何しろ、故郷は美人系だッてんで、無理に誘って来たんだけれど、まだ一向別嬪にお目にかからないので、申訳のなかった処なんだよ。お前さんの顔を見て、ほんとうに安心した。――いかがです、槙村先生。」
「串戯じゃあない、串戯ですよ。いやまったくです。」
そこで私は雪代さんの礼を受けた。
八郎は、すぐ前の台所へ出て、流に立ったお悦の背後から、肩越しに覗込んでいたが、
「来て御覧なさい槙村さん――この鮒は見ものですから。」
私はまだ馳走に呼ばれて台所を紹介された事がない。が、そんな心安だてより、鮒の見事だったのより、ちょっと話したいのは三傘夫人の効々しさで。……俎の上に目の下およそ一尺の鮮鱗、ばちばち飜るのに、襷も掛けない。……羽織を着たまま左の袖口に巻込んで、矢蔵の艸という形で、右に出刃を構えたが、清い目で凝と視ると、庖丁の峯を返してとんと魚頭を当てた、猿の一打、急所があるものと見える。