Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Lee 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 167.105 caracteres · 337 pantallas

Aozora Bunko

拝殿らしいのが前にひと棟。

内陣とおぼしき建物がその奥にひと棟。

渡殿、回廊、社務所、額殿、祓殿、それに信者だまり、建物の数は七、八つも見えました。内庭にはまた水門から堀がつづいて、船頭たちはどこへ姿を消したか、ぬしのないしめなわ舟がなぞのごとくに見えました。

鉦もきこえるのです。

鈴の音も、笙篳篥の音も、そうかと思うと太鼓の音がどろどろどんどんと伝わりました。

なんの祈祷か、祈りがもう始まっているらしいのです。その音をたよりに、名人は一歩一歩と八方へ心を配りながら、拝殿近くへ忍び寄りました。

同時に、ぴかりと目が光った。

張りめぐらしてある幔幕に、あの三蓋松の紋どころが見えるのです。

つるしてある大ちょうちんにも同じ紋が見えるのです。

「におってきたな。出るな! 出るな! 飛び出して姿を見られたら、あとの手数がかからあ。こっちへ隠れてきなよ」

影を見とがめられないように身を隠しながら、拝殿へ近づくと、回廊にそっと上がって、やみの中から目を光らしました。

ぼうとぶきみにまたたいている燈明のあかりの下に、楽人たちの姿は見えるが、肝心の信者の姿は、舟で消えたあの女たちの姿は、ひとりも見えないのです。