Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

ねむのきのかげ

合歓木の蔭

山本 周五郎

Lee 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.740 caracteres · 27 pantallas

Aozora Bunko

一

一

誰かが自分を見ている。奈尾はさっきからそのことに気がついていた。もちろん右側の男たちの席からである、さりげなく振り向いてみるが、その人はすばやく視線をそらすとみえて、どうしてもその眼をとらえることが出来なかった。――こんど完成した二の丸御殿の舞台で、こけら落しとかいう、江戸から観世一座が呼ばれ、殿さまも安宅の弁慶をおつとめになる演能に、寄合以上の者が家族といっしょに拝見を許された。母のない奈尾は叔母のまさ女に付き添われて来たのだが、席へつくとすぐ叔母は知合いの婦人と会い、その婦人がさらに三人ほどつれを呼んできた。旧友がひとかたまりになったというかたちで、奈尾はいつか会話の外へ残されてしまった。……市蔵という兄だけでおんな姉妹もないし父が厳しくて稽古ごとなどもみんな師匠を家へ呼んで習ったから奈尾には友達というものがなかった。まわりを見ると同じ年ごろの娘たちはたいていつれがあって、おかしそうに耳こすりをしたり、ささやいたりぜをしあったりしている、慎ましくとりつくろっているだけ余計に楽しそうである。なかには男の席から会釈をおくられて、羞かしそうに赤くなる者や、勇敢に挨拶を返してつれの娘に叩かれる者などもいた。