Clásicos japoneses con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lee 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.286 caracteres · 301 pantallas
それじゃ妾は行かなけりゃならない」
「では俺もおいとまとしよう」
次郎吉はポンと立ち上がった。
「オイ、はねたら飲みに行こうぜ」
「ええ」
というと部屋を出た。
チェッと次郎吉は舌打ちをしたが、
「あぶねえものだ、火がつきそうだ」
ちょっとあたりを見廻してから、部屋を出ると廊下へかかり、裏梯子を下りると裏口から、雪のたまっている往来へ出た。
プーッと風が吹いて来た。
「寒い寒い、ヤケに寒い」
チンと一つ鼻をかみ、
「さあて、どっちへ行ったものかな」
あてなしにブラブラ歩き出した。がその眼には油断がない。絶えず前後へ気をくばっていた。
バッタリ遭ったは河内山
「おお和泉屋、和泉屋ではないか!」
こう背後から呼ぶ者があるので、次郎吉はヒョイと振り返って見た。剃り立て頭に頭巾をかむり、無地の衣裳にお納戸色の十徳、色の白い鼻の高い、眼のギョロリとした凄味のある坊主、一見すると典医であるが、実は本丸のお数寄屋坊主、河内山宗俊が立っていた。
「おや、これは河内山の旦那で」
こうはいったが和泉屋次郎吉、たいして嬉しそうな顔もしない。むしろ酸っぱい顔をした。
「どこへ行くな、え、和泉屋」