Clásicos japoneses con furigana
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とち
土地
豊島 与志雄
Lee 土地 (とち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.719 caracteres · 22 pantallas
」と平助は考えた。
「みんな立派な服装で戻って来るじゃねえか。」と音吉は云った。
「そんなこと云ってお前、旦那にすむと思うか。」と平助は繰返した。
「すむもすまねえもねえや。おらあおらが力で稼いでるだ。旦那なんざあ、旨え物あ食ってのらくらしてさ、ただじゃあ一文だっておいらに呉れゃあしねえ。」
「その代り人一倍心配もしてござるだ。何もねえ方が気楽でええとよく仰言るじゃねえか。」
「そんなこたあ勝手な云い草だあ。」ぶつりと云い切って音吉は父の顔をじっと見た。「なあ、兎も角おら一人でええから、暫く町せえやってくんねえか。」
「いやいけねえ。」と平助は強く頭を振った。
二人は暫し無言のまま、太陽の炎熱の中に立ちつくした。やがて音吉はほっと溜息をつくと、自棄に鶴嘴の柄を握りしめて、木の根といわず草叢といわず、大きな土塊を起していった。平助はその後を鍬で耘いながら、草木の根を土から選り分けて、それを荒地の片隅へ運んで、小高い塚を築いていった。
そして彼等の太い息と汗の匂いと、胸の底の思いまでが、蒸し暑い大気に包み込まれてしまった。何処かで鳴いてる蝉の声が、じりじり照りつける日の光と融け合って、大地の上に重くのしかかっていた。