Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lee 坑夫 (こうふ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 141.690 caracteres · 283 pantallas

Aozora Bunko

そこでまた話を始めた。

「いつ帰る」

「帰らない事にしました」

安さんは馬鹿だなあと云わないばかりの顔をして呆れている。

「あなたのおっしゃった事は、よく分っています。しかし僕だって、酔興にここまで来た訳じゃないんですから、帰るったって帰る所はありません」

「じゃやっぱり世の中へ顔が出せないような事でもしたのか」

と安さんは鋭い口調で聞いた。何だか向うの方がぎょっとしたらしい。

「そうでもないんですが――世の中へ顔が出したくないんです」

と答えると、自分の態度と、自分の顔つきと、自分の語勢を注意していた安さんが急に噴き出した。

「冗談云っちゃいけねえ。そんな酔狂があるもんか。世の中へ顔が出したくないた何の事だ。贅沢じゃねえか。そんな身分に一日でも好いからなって見てえくらいだ」

「代れれば代って上げたいと思います」

と至極真面目に云うと、安さんは、また噴き出した。

「どうも手のつけようがないね。考えて御覧な。世の中へ顔が出したくないものがさ、このシキへ顔が出したくなれるかい」

「ちっとも出したくはありません。仕方がないから――仕方がないんです。昨夕も今日も散々苛責られました」