Clásicos japoneses con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lee 夏の葬列 (なつのそうれつ) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 60.161 caracteres · 122 pantallas
煙草屋は、四辻の一角にあって、銀行の私設野球場をかこむ金網の塀の角に、ちょうど対角に面している。赤電話でソバ屋のダイヤルを廻し終えて、彼はふと私設球場の金網に片手をかけ、背を向けて、その若い女が立っているのを見たのだった。
脚のすばらしく美しい女だった。襟の大きな、焦茶色の、しかしいささか毛脚の古ぼけた外套に身をつつんで、長い髪がやわらかく肩にかかっている。
女はでも、私鉄の駅に向う一本の道に、じっと顔を向けつづけている。きっと、誰かを待っているのだ。……なんとなく、彼はすてきな青年が呼吸をきらし、走り寄ってくるさまを空想した。それは、見事な、頬笑ましい「愛」の風景に違いなかった。
突然、うしろから声が呼んだ。煙草屋の小母さんが、ケースの上に乗り出すようにしていた。「……あの娘さんねえ」と、彼に目配せのような笑いを送りながら、小母さんは、声をひそめた。「ああして、もう二時間も前から、ずっとあそこに立っているのよ」
「二時間も前から?」
そのとき、女が振りかえった。
彼は、讃嘆の表情をかくすことができなかった。髪が少し乱れ、化粧もしていない顔だったが、女は充分に若く、美しく、魅力的な、あざやかな目鼻立ちをしていた。