Clásicos japoneses con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lee 夏の葬列 (なつのそうれつ) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 60.161 caracteres · 122 pantallas
……ある日、ぼくが便所で用を足していると、重い跫音が聞こえて、彼は冷たい風のように入ってきた。チャンスだ、とぼくは思った。
「この便器、児童用だな。……やはり、こんなものにでも小ささをかんじるほどでかくなったんだな、ぼくら」
下心のせいで、親しげにぼくはいうと、わざと破顔一笑という感じを誇張させて笑った。……が、彼は眉一つ動かさない。怒ったような目で白壁を睨んだまま、答えようともしない。
「みんな、どうも陰気な連中でね。……ときどき、ぼくは議論でもして、舌をペラペラと軽快に全廻転させてやりたくなるよ。はは」
下のほうから黄っぽい小水の湯気につつまれ、でも彼の表情は、微動だにしない。ぼくは呆れ、半ば感嘆して、でもボタンをはめながらウロウロとそこを離れたくなかった。
「君はでも、そうは思わないかい?」
そのとき、ガツンと顎を突き上げるみたいな、この上なくつっけんどんな彼の答えがきた。
「……思わないね」
彼はさも軽蔑したように横目でちらりとぼくをながめ、フン、と鼻を鳴らした。そして戦闘的に右肩をそびやかすと、そのままぼくには目もくれず、さっさとそこを出て行ってしまった。