Clásicos japoneses con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lee 夏の葬列 (なつのそうれつ) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 60.161 caracteres · 122 pantallas
絶句して、やっとぼくは昂奮から身を離すべきだと気づいた。ぼくは握り飯の一つを取り、頬張って横を向いた。もうどうにでもなれ、と思った。こん畜生。もう、こんなバカとは、ツキアイきんない。……そのとき、山口の手が、ごく素直な態度で、弁当にのびた。
「――ありがとう」
と、彼はぼくの目を見ずにいった。そして、握り飯をまっすぐ口にほうりこんだ。
まるで、ありえないことが起こったように、ぼくは目の隅で山口が食べるのを見ていた。一口で口に入れて、彼は、わざとゆっくり噛んでいるようであった。
ある照れくささから、相手の目を見たくない気持ちはぼくにもあった。無言のまま、ぼくらは正確に交互に弁当箱に手をのばした。当然の権利のように、彼はぼくがイカの丸煮をつまむと、ちゃんと残った一つをつまんだ。……だんだん、ぼくはかれが傷つけられてはいないこと、あるいはそう振舞ってくれていることに、ある安堵と信頼を抱きはじめた。それは、最後に残った山口の分の一つに、彼の痩せた青白い手が躊躇なくのびたのを見とどけたとき、ほとんど、感謝にまで成長した。――ぼくは、彼が狷介なひねくれた態度を固執せずに、気持ちよくぼくにこたえてくれたことがむしょうに嬉しかった。