Clásicos japoneses con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lee 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 66.871 caracteres · 134 pantallas
針助はだまって、それを唖の娘の手に握らせてやると、娘はにやりと微笑んで、何度も何度も勘定するのだった。
久しく金というものを、手にしたことがないのだろう。
お加代はふっと顔をそむけて、自己嫌悪に襲われた。
針助はにやりと笑って、薄気味の悪い、女のようなネチネチと優しい声で、
「今はこんな端た金でも、もうちょっと仕込んだら、今に背中の刺青にものを言わすようになるやろ」
「じゃ、あんた、もうこの娘っ子に……」
と、お加代は顔色を変えた。
「――刺青をしてしまったの……?」
「うん」
「一体、どこで拾って来たの」
「梅田の闇市や。飯を食べさせるったら、喜んでついで来よった」
針助はうふふ……と、下卑た笑い声を立てた。
「ごはんで釣って、こんな口も利けない娘ッ子に……」
と、お加代はきっと唇を噛んだ。
「――うむも言わさずに、刺青をするなんて、実際ひどいことをするのね」
針助を睨むように見ると、針助はふと狼狽の色を見せたが、やがて急に笑い出して、
「あはは……。永いこと刺青をせんからな。たまにはこういう大人しい娘の肌に、思う存分針を入れんと、淋しゅうて仕様ない。今日は久し振りにたんのうした。