Clásicos japoneses con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lee 夜明け前 (よあけまえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 205.629 caracteres · 408 pantallas
」
これらの七郎左衛門の話は、半蔵にも、寿平次にも、容易ならぬ時代に際会したことを悟らせた。当時の青年として、この不安はまた当然覚悟すべきものであることを思わせた。同時に、この仙郷のような三浦半島の漁村へも、そうした世界の新しい暗い潮が遠慮なく打ち寄せて来ていることを思わせた。
「時に、お話はお話だ。わたしの茶も怪しいものですが、せっかくおいでくだすったのですから、一服立てて進ぜたい。」
そう言いながら、七郎左衛門はその茶室にある炉の前にすわり直した。そこにある低い天井も、簡素な壁も、静かな窓も、海の方から聞こえて来る濤の音も、すべてはこの山上の主人がたましいを落ち着けるためにあるかのように見える。
「なにしろ青山さんたちは、お二人ともまだ若いのがうらやましい。これからの時世はあなたがたを待っていますよ。」
七郎左衛門は手にした袱紗で夏目の蓋を掃き浄めながら言った。匂いこぼれるような青い挽茶の粉は茶碗に移された。湯と水とに対する親しみの力、貴賤貧富の外にあるむなしさ、渋さと甘さと濃さと淡さとを一つの茶碗に盛り入れて、泡も汁も一緒に溶け合ったような高い茶の香気をかいで見た時は、半蔵も寿平次もしばらくそこに旅の身を忘れていた。