Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lee 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 159.272 caracteres · 313 pantallas

Aozora Bunko

最初は茂太郎の手を引いて外へ出たが、少し歩くともどかしそうに茂太郎を取って、自分の背中に背負い込んでさっさと歩み去りました。

江戸橋の岸、木更津船の船つきの場所に茂太郎を十文字に背負って、空を眺めて立つ白雲。

澄み渡った秋の空に、白い雲が悠々と遊んでいるのを眺めた時は、一味の旅愁というようなものが骨にまでしみいるのを感じました。

ほんとうに自分こそ白雲そのもののような生涯。

それでも旅から旅へうつる瞬間には、どうしてもこの哀愁を逃れることができない。哀愁に伴うて起る愛惜の念が、流転きわまりなき人生に糸目をつける。

妻子を顧みないのは、妻子に対して自分の愛惜があり過ぎるからだと白雲は、その時にいつもそう思います。

愛惜があってはいけない。妻子眷族にも愛惜があってはいけない。自己の作物にも愛惜があってはいけない。愛惜の一念ほど自由放浪の精神を妨げるものはないと、いつもそれを感じながら、旅から旅を歩いているのであります。

「妖童般若」の図を描き上げて、こうして追い立てられるように出立したのは、自個の作物そのものに、また愛惜を感じてはならないと思ったからでしょう。