Clásicos japoneses con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lee 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.374 caracteres · 345 pantallas
「御安直な面ぁしてやがる、大方、四国猿か、篠熊の親類筋だろう」
こう言って、悪態をつき、唾を吐いて歩き出したものですから、渡り者の老仲間も、これに続きました。
歩きながらも、怒気忿々たる神尾は、繰返して胸の中で、
「江戸っ子も下落したもんだなあ、だが、この恥知らずは、江戸っ子ばかりの罪じゃねえぞ、政治が悪いんだ、まだ、天から矢玉が降って来たわけじゃアなし、西国の又者が攻め込んで来たわけでもなし、天保の飢饉がブリ返して来たというわけでもないのに、もう食物でガツガツしてこのザマだ、一つには江戸っ子の下落、一つには政治向の堕落、江戸の台閣には人間がいねえのかなあ」
六十七
こういう余憤に駆られながら、神尾主膳主従は、昌平橋高札場のところまで来て見ると、橋のたもとから引廻し蕎麦に至るまで、また、人だかり、人騒ぎが穏かでありません。
今度は、広小路の時のように一列は作らないが、無数の人がかたまって、押し合い、へし合い、後なるは前なるを引戻し、横から来るのは突きのけ押し倒し、襟髪を引っぱるもの、足もとをさらおうとする者、前なるは必死で、しがみついて放すまいとする、その事の体が平常ではありませんから、神尾が立ちどまって、篤と見定めると、彼等が押し合い、へし合いしている中央に、一台の馬車があるのであります