Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lee 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 368.567 caracteres · 720 pantallas

Aozora Bunko

「この夜中に、どことも当てもなく提灯が一つこの家から出て行きました、あれ、あの通りまた出て参りましたよ」

一旦、谷間に隠れてしまった問題の提灯は、この時、また姿を現わしました。

そうして、おもむろにこちらへ向いて戻って来る気色は確かです。

お雪は、前後に圧迫の思いを以て、その提灯を見つめています。

提灯は極めて静かに小径を歩いて、段を上り、こちらへ近づいて来る。お雪は恐怖と幻怪の中に、今度こそは、その正体を見届けてやろうという気になりました。

物怪でない限り、提灯だけが一つさまよい歩くという道理はありません。提灯はまさしく人の手によって携えられていればこそ、提灯としての通行があるので、今度こそは、提灯と、その主とが、明らかにお雪の眼に見て取られます。以前は軒端をめぐって滝の下を行ったものだから、提灯の隠見することだけが見えたのが、今度は直きに小坂を上って来るものですから、それで明らかに提灯も、その主もわかったものです。

そうして、それがなお一歩一歩と近づくのを見ているうちに、足の歩みのたどたどしいのも道理、この提灯の人は、片手に鏡のような水を満たした手桶を提げている、ということが明らかとなりました。