Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lee 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 268.946 caracteres · 520 pantallas

Aozora Bunko

「不足を言えば、たぼが一枚欠けているだけのもんだ、この席へ、いま聞いたような咽喉が一本入れば、それこそ天上極楽申し分ないのだが――望月のかけたることのなしというのはかえって不祥だよ、この辺で浮きなよ、浮きなよ」

「浮かない――一杯飲めば飲むだけ気がふさぐ」

「弱ったな、こうして働いて御馳走をしてやって、その御馳走を食わないならいいが、さんざん食い且つ飲まれながら――一口上げに気がふさぐと言われたんじゃ、全く板前がやりきれない」

と言って、丸山勇仙がつまらない面をして、仏頂寺の面を見なおす。

「丸山、つまらねえな」

「何が……」

「つまらねえよ」

「何が、どうして」

「酒を飲んでも浮ばれなくなったんじゃ、もう見きり時だ」

「いやに湿っぽいことを言い出したもんだな、しかし……」

と、丸山も少しく思案してみての上で、

「そうだっけな、李白の詩に、酒を飲んで愁を銷さんとすれば愁更に愁う、というのがあったっけ、あれなんだな」

「どれだ」

「まあいいや、酒というやつが、必ずしも人を浮かすときまったもんじゃないんだから、何でもいいから飲みな仏頂寺、遠慮なく飲みな、そのつもりで、この松茸と相応するほどもろみが仕こんで来てあるのだから」