Clásicos japoneses con furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lee 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.024 caracteres · 28 pantallas
「その方なら、四半刻ばかり前、お山の方へ急いで行きましたよ」
「チェッ、足の達者な女郎だ」
鶴次郎は様子に似気なく、下司な口をききます。
「其方の手綱捌きが悪いからだよ、お蔭で、ジャジャ馬は、何処までもひと足ずつ先へ行き居る」
奥村主殿も忌々しそうでした。
「山へ登ると、何彼と面倒、私がひと足先に駆け抜けて、あの女を引き留めましょうか」
鶴次郎はへつらい顔になります。
「いやまて、町に居る時こそ、其方の手業に任せたが、山に入っては拙者の役目だ。差出がましいことは相成らぬぞ」
「ヘエ――」
「娘がくれぐれもそう言ったよ、鶴次郎をあの女に近づけてはならぬ――とな」
「ヘッ、ヘッ」
鶴次郎は妙な急所を押えられたらしく、照れ隠しに自分の額ばかり撫で廻して居ります。
「それは冗談だが、あの女が一足先に幸吉に逢ったところで、何程のことがあろう、どうせあの親子は、用事が済んだあとは捨て案山子だ、――其方が居さえすれば、加州の家中悉く安心というものじゃよ」
「恐れ入ります」
そんな事を言い乍ら、一行は白山へと向って行くのでした。
「大変な奉幣使があるものだな」
その後を見送って、旅人清作は隠れた場所から出て来ました。