Clásicos japoneses con furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lee 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.514 caracteres · 36 pantallas
そして、その劬りにほだされた夫人の心は、いつか、良人の放蕩を大目に見るように馴らされてくる。やがて、その劬りで放蕩が棒引きされ、優しい言葉を聞かされるたびに、すべてを忘れて感謝の念に浸るのだった。
もともと製鋼所をひきつがせたい嗣子の慶太郎を医術のみちへ進ませるということは唐沢氏にとっては相当の決断力を必要とすることだった。けれど、唐沢氏自身よりも当の慶太郎がこの話に大乗気になって、高等学校の受験科目は勝手に理科乙を選び、大学も医科へ進んでしまった。元から手先きのことは器用だったし、七つ八つの頃から昆虫の採集に熱中するような子供だったので、唐沢氏も諦めてしまったのか女婿の横尾氏を起用することになった。
慶太郎をあてがわれた夫人は、良人のあそびが左程こたえなくなった。学校の休暇を利用して、母子のものはよくつれ立って温泉めぐりをする。温い片瀬の別荘でひと冬を過すこともある。元来、母親贔屓の慶太郎は、医学生らしい細かい心くばりをして、母を病人とよりは、子供のようにして世話をやく。冷えこみで小用の近い母が夜分厠へ起きるたびに肩をかしてやり、自分も序に用を足しておく。