Clásicos japoneses con furigana
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あんごこうだん
安吾巷談
Lee 安吾巷談 (あんごこうだん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 24.016 caracteres · 48 pantallas
後年、私が三十のころ、流浪のあげく、京都の伏見稲荷の袋小路のドンヅマリの食堂に一年ばかり下宿していたことがあった。
はじめ私が泊ったころはタダの食堂、弁当の仕出し屋にすぎなかったが、六十ぐらいのここのオヤジが碁気ちがいだ。毎晩私に挑戦する。それが言語道断のヘタクソなのである。石の生死の原則だけ辛うじて知っているだけで、九ツおかせてコミを百だして、勝つ。つまり、全部の石が死んでしまうのである。それでもオヤジは碁が面白くて仕方がないというのだから、因果なのは彼にしつこく挑戦される人間である。
バカバカしくて相手になっていられないから、そんなに碁が打ちたいなら、幸い食堂の二階広間があいてるから、碁会所をやりなさい。碁会所は達人だけが来るわけではなく初心者もくるから、初心者相手にくんずほぐれつやったらお前さんも溜飲が下るだろう、とすすめて碁会所をひらかせた。
オヤジは大変な乗気で、碁道具一式そろえ、初心者きたれ、と待ち構えていたが、あいにくなことにオヤジと組んずほぐれつの好敵手はいつまでたっても現れず、誰も彼を相手にしてくれないので、オヤジのラクタン、私もしかし今もってフシギであるが、これぐらいヘタクソで、これぐらい好きだというのは、よくよく因果なことである。