Clásicos japoneses con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lee 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 508.883 caracteres · 1017 pantallas
「ア。矢立を持たなかった」
小次郎がつぶやくと、
「矢立がお入用なら、てまえの腰にたしか差してあったと思いますが」
と、又八が媚びていう。
「そうか、おぬしが持ち合わせておるか、じゃあ借りるぞ」
筆を投げて、小次郎は読み返していた。
巌流――これはふと今、思いついた変え字である。従来は、岸の柳、岩国の錦帯橋で、燕斬りの修練をした思い出を、剣号にしていたのであるが、それを流名とすれば――巌流――このほうがいかにもふさわしい。
「そうだ、これから流儀は、巌流と称おう、一刀斎の一刀流などより、遥かにいい」
夜も更けた頃である。
紙一枚ほど削った樹の白い肌へ、小次郎は、矢立の筆を執ってこう書いた。
この者、それがしの姓をかたり、それがしの剣名を偽称し、諸国よからぬ事してあるきたれば、捕えて、面貌を衆に示すものなり
わが姓、わが流、天下に二なし
巌流 佐々木小次郎
「よし」
墨のような松かぜが、松林の中を、ぐわっと潮みたいに鳴って行った。小次郎の鋭敏な若さは頭の中ですぐ活動の目標へ変化を取る。今、そんな抱負に燃えていたかと思うと、もう暗い松かぜへ、豹のような眼を光らせ、