Clásicos japoneses con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lee 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.748 caracteres · 254 pantallas
物を言わないは言うよりか、どれ程苦痛であるか知れなかった。直樹は居ず、三吉は独りで奥の蚊帳の内に横に成りながら、自分で自分の為ることを考えてみた。気味の悪い蚊帳は髪に触って、碌に眠られもしなかった。
十二時過ぎた頃、お雪は寝衣のままで、別の蚊帳の内に起直って、
「御休みですか」
と声を掛ける。三吉の方では返事もせずに、沈まり返っていた。お雪の啜泣の声が聞えた。
「貴方、御休みですか」
と復た呼ぶので、三吉は眠いところを起されたかのように、
「何か用が有るかい」
「何卒、私に御暇を頂かせて下さい」
お雪は寝床の上に倒れて、声を放って哭いた。
「明日にしてくれ……そんなことは明日にしてくれ……」
こう三吉はさも草臥れているらしく答えて、それぎり黙って了った。身動きもせずにいると、自分で自分の呼吸を聞くことが出来る。彼は寝床の上に震えながら、熟と寝た振をしていた。そして耳を澄ました。お雪は泣きながら蚊帳の外へ出て、そこいらを歩く音をさせた。畳がミシリミシリ言う。箪笥が鳴る。三吉は最早疑心に捕えられて了って、その物音を恐れた。そのうちに、蚊帳の内に寝かしてあった子供が泣出した。