Clásicos japoneses con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lee 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 163.270 caracteres · 325 pantallas
一番おしまいの二世圓生――それがいまの自分の師匠の圓生だった。
「ほんとに……」
桶の中から取り出した樒を半分ずつにして、両方の花立ての中へ差し込みながら圓朝は、
「うちの師匠の代になってめっきり三遊派は衰微してしまった」
そっと微かに溜息を洩らした。秀でた眉が、心持悲しく慄えていた。
「何て……何てこったろうほんとに」
シットリと湿けた枝差しだしている傍らの柘榴の股になっているところへのせて置いたお線香二本、つづいて圓朝は左右の線香立てへ供えた。ユラユラうすむらさきの煙りが立ちのぼって、やがてそれが思い思いの形に折れた。そうして、流れた。
……町内随一の大分限の身代が次第々々にぐらつきだし、今ではいたずらに大きなそこの土蔵の白壁の、煤け、汚れ、崩れ果てて、見るかげもなく鬼蔦の生い繁り、鼠ほどもある宮守の絶え間なく這い廻っている……そうした何ともたとえようない寂しい儚ない浅ましい景色を、圓朝は目に描かないわけにはゆかなかった。
「……もし初代さま、大師匠さま」
すっかりお墓の掃除をすますと、改めてサーサーッと手桶の水を墓石の上から流し、なるべく大きな美しい樒の葉を一枚むしって、その葉ではね返すように小さく手向の水を上げると、心からなる声で呼びかけた。