Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
やまへかえりゆくちち
山へ帰りゆく父
小川 未明
Lee 山へ帰りゆく父 (やまへかえりゆくちち) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 7875 caracteres · 16 pantallas
風は、いままでは、つねに南から吹いていましたが、だんだん北から吹くほうが多くなると、季節も変わって、熱さは去っていったのです。
つばめは鳴いたり、すずめもまれにきて、屋根の上などで鳴きましたけれど、草は、故郷の草原で聞いたような、いい小鳥の声にはふたたび出あいませんでした。
太陽は、東から出て、西に沈みました。けれど、あの黒い森影から上がって、あの高い雲の光る山のかなたに沈むのではありませんでした。いつもほこりっぽい建物の屋根から上がって、あちらの屋根の間に落ちるのでした。草は、夜々、大空に輝く星の光を仰いで、独りさびしさに泣いたのです。故郷の露深い、虫の声のしげき草原が慕われたからです。そこにいまもなお花の咲いている姉妹や友だちがいるのが、かぎりなく恋しかったのです。
ある日、草は、下に黙ってすわっていた石に向かっていいました。
「あなたも、遠くからきなされたのですか。」
「ええ、やはり汽車に乗って、あなたといっしょにまいりましたのです。」と、石は答えました。
すると、草はさも疲れたというようすをして、
「あなたは、体がおじょうぶですから、どこにいられてもいいのですけれども、わたしは、もうこんなに弱っています。