Clásicos japoneses con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lee 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.846 caracteres · 96 pantallas
盆暮の仕着せ、折々の心づけ――あの店のさかんな時分には、小竹の印絆纏や手拭まで染めさせて、どれ程多勢の人を悦ばせたことか。都会の婦人に多い見栄からでなしに、お三輪はくれられるだけくれて、この池の茶屋に使われている人達をも悦ばせたかった。
「まあ、そう言わずに皆に分けておくれ。年寄に恥をかかせるものじゃないよ。ほんのあたしの志だよ」
とお三輪はその紙の包をお力の手に握らせた。彼女はいくらもない小遣をあらかたそこへ出してしまった。
やがて新七も母を見送る支度をはじめた。お力は人のいない食堂の方にお三輪の席をつくって、出掛ける前の彼女のために、髪を直したり撫でつけたりしてやった。お三輪はもう隠居らしく髪を切っていて、半分男に帰ったようでもあった。
「小伝馬町の富田さんでも、今度の震災ではお気の毒だねえ。あそこの家の子息さんも切通しで亡くなったってねえ。お力はあの子息さんを覚えているだろう」
髪をなでつける人、なでつけて貰う人の間には、すべてが思い出の種でないものはなかった。お三輪のいう小伝馬町の富田さんとは、石町の御隠居さんの家から分れて出た針問屋にあたる。