Clásicos japoneses con furigana
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おびひろまで
帯広まで
林 芙美子
Lee 帯広まで (おびひろまで) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.656 caracteres · 28 pantallas
「判っていたのよ。私なんかに遠慮しないでいゝのよ」
伊代が物判りのよい女のように九太の告白に応えて呉れた時は、九太は心の芯の方で吻とした表情になっていた。これは案外悲劇にならないで済むぞと思った。九太のような人間には、銀幕の上のような大がかりな泣きかたでなければ悲劇ではないと考えられたのであろう。――三年間と云う長い間、女の心の奥にある愛情や肉親的なものが充分に培われていた伊代にとっては、突然夫の口から他の女との告白を聞かされては、吃驚せざるを得なかった。夫はあやまちだと云った。だが伊代にはあやまちとは受けとれなかった。谷氏が亡くなって一ヶ月してからもまだ度々訪ねてゆき、幾度か谷夫人に逢っている。最後までは行っていないと云うのであったけれど、それが、伊代には計画的にされた事のようで「許せない!」と云って腹を立てるのであった。その時、ちらと九太の頭の中には不純な影が覗いていた。「許せないのなら別れるより仕方がないよ。それで、君は大丈夫なのかい?」と伊代に尋ねた。伊代は腹立ちまぎれに大丈夫だと云った。九太は待ちかまえていたように、「では、これだけ置いておく、僕は、本当は何もかも謝罪ってしまって、平和に立ちなおりたいと願っていたのだが、君からそんなに叱られると、僕の気持ちはやっぱりあっちに向って行ってしまうじゃ