Clásicos japoneses con furigana
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まぼろしのたて
幻影の盾
Lee 幻影の盾 (まぼろしのたて) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.372 caracteres · 45 pantallas
「鴉を殺して鳩だけ生かそうと云う注文か……それは少し無理じゃ。然し出来ぬ事もあるまい。南から来て南へ帰る船がある。待てよ」と指を折る。「そうじゃ六日目の晩には間に合うだろう。城の東の船付場へ廻して、あの金色の髪の主を乗せよう。不断は帆柱の先に白い小旗を揚げるが、女が乗ったら赤に易えさせよう。軍さは七日目の午過からじゃ、城を囲めば港が見える。柱の上に赤が見えたら天下太平……」
「白が見えたら……」とウィリアムは幻影の盾を睨む。夜叉の髪の毛は動きもせぬ、鳴りもせぬ。クララかと思う顔が一寸見えて又もとの夜叉に返る。
「まあ、よいわ、どうにかなる心配するな。それよりは南の国の面白い話でもしょう」とシワルドは渋色の髭を無雑作に掻いて、若き人を慰める為か話頭を転ずる。
「海一つ向へ渡ると日の目が多い、暖かじゃ。それに酒が甘くて金が落ちている。土一升に金一升……うそじゃ無い、本間の話じゃ。手を振るのは聞きとも無いと云うのか。もう落付いて一所に話す折もあるまい。シワルドの名残の談義だと思うて聞いてくれ。そう滅入らんでもの事よ」宵に浴びた酒の気がまだ醒めぬのかゲーと臭いのをウィリアムの顔に吹きかける。