Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lee 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 45.616 caracteres · 90 pantallas

Aozora Bunko

この橋をわたれば江戸のそとで、お代官領になります。

家光の乗物がちょうど大橋のなかほどにすすんだ時、

「や、や、あれはなんだ」

かごわきの武士、旗本八万騎の中からよりだした勇士が、おもわず声をあげたのもむりはありません。わたりかけた大橋のむこうがわ、北千住よりの橋の上に一団の火焔がもえあがるとみるや、たちまち大輪の火の車となっておともの人々を川に追いおとし、うなりを生じて家光のかごのほうにちかづくのです。

「ひっかえせッ」

供わきの老臣が声をかけると、家光を乗せたかごは、その場からうしろをむいて、一気にかけもどろうとしましたがいけません。江戸よりのほうからも、おなじく一団のほのおが橋の上いっぱいにもえて、家光のかごを前うしろからはさみうつのでした。

「もどってはならぬまっすぐに行けッ、えッ、行かぬかッ」

家光はさすがにはじをしる人間でした。怪火に橋の前後からやきたてられると、すすむもひくもほのお。このうえは猛火をくぐってすすむほかはないと思ったか、乗物の扉をたたいて、声をはげまします。

「おそれながら、かるはずみはなりません。この場はじじいにおまかせくだされ」