Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
おんじん
恩人
豊島 与志雄
Lee 恩人 (おんじん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.268 caracteres · 27 pantallas
一人になると、彼は今したことをじっと見守っていたも一つの自分というものが返って来たような気がした。それで室から紙巻煙草を取って来てそれに火をつけ乍ら、庭に下りた。
午後に曇った空はまた何時の間にか美しく晴れ渡っていた。月の無い暗い空に星が燦然と輝いて、久遠の進路を大なる弧を画きつつ辿っていた。地上の深い静寂の上に今天体の悠久なる律動が力一杯に徐々と押し移っているのである。彼は空を仰ぎ、そしてまた陰深たる木立の奥をすかして見た。心の中にたち乱れた情緒が息を潜めて、大きい円い力となって彼の胸を中から緊縮した。解き難い或るものが、そしてただ緊張し霊感する或るものが其処にあった。不可見の或るもの不可知の或るものが、彼の周囲をとりかこんで、それが無際限に連る。心霊の孤独と多元的宇宙の相互の愛とが、殆んど何等の矛盾なしに彼の心に感ぜられた。空と地とに啓示せられる誘いのままに彼は身を任せて、何物をもうち忘れ、只ふらふらと歩き廻った。
その時向うにちらつく火影を認めて彼は凝乎と立ち止った。それは叔父の室であった。叔父は窓をうち開いて黙然と外を見ていた。彼は忍び足に近寄って、その顔を見つめた。